待ち行列とはサービスを提供するシステムの混雑状況を分析するための理論であり、建築計画分野では、室数、窓口数、便器数の設定など規模計画に関する応用範囲がある。1909年のアーラン(E.K. Erlang)による電話回線の混み合い問題の研究が最初であるとされている。
利用が集中するとサービスを受けられない客が発生し、待ちが生じる。待ちが過剰に生じないように計画するのが規模計画の目的である。
待ち行列モデルは X|Y|s の形式で表記する。
の場合、M|M|s と表記する。
λ=到着率(単位時間当りの到着客数:人/時間) 1/λ=平均到着時間
μ=サービス率(人/時間) 1/μ平均サービス時間 s=サーバー数
とすると評価量は次の関係で示される。
参考文献:例解OR小和田正・加藤豊 実教出版
[例1] 単純なモデル
ある病院の採血室の台数を計画する。採血を行う時間は9:00~12:00、採血患者数は1日当り500人、採血に要する時間は1人当り2分である。M|M|sモデルと考え、台数を6とした時、次の各数値が求められる。
なおS=7ではWqは0.65分、S=5では非定常(客がどんどん溜まっていく状態)となる。台数は6台が最低限必要と考えられる。
[例2] 複合したモデルb
ある病院の内科系診察数、外待合の待合滞留人数を計画する。1日平均外来患者数2000人、内科の比率35%、初診率8%とする。平均診察時間は初診15分、再診5分、受付時間8:30~11:30、診察開始時刻9:00、診察終了時間は13:00頃までを限度とする。再診予約率98%、付き添い率は30%とする。
平均系内数は8.66人であり診察室1人、中待合1人がいるとすると8.66-1-1=6.66人が外待合にいることになる。
現実の計画に際しては診察時間に変動があり予約(再診)患者の滞留が一様でないことを考慮する必要がある。同時に患者サービスの視点からも運用・施設を考える必要があることを付け加える。